クラスに1人は「被害者」(日本教育新聞2012年9月24日)
DV家庭は20世帯に1世帯という統計がある。それを学校のクラスに置き換えるならば1クラスに1人か2人はDVのある家庭の子どもがいるということである。
DVという親密な関係の人間におこる暴力にはいくつかのパターンがある。殴る、蹴るといった身体的暴力は被害者が障害を負うような激しい暴力も多い。365日、朝から晩まで人格を否定するような言葉を言われ続ける精神的暴力。生活費をいくら懇願しても渡してもらえないといった経済的暴力。仕事をさせない、学校に行かせない、親類友人との付き合いなど、行動の制限をされる社会的暴力。そして女性にとってはダメージが大きい性的暴力がある。性的暴力には避妊をしない、アダルトビデオ見せられる、子どもの前での性行為の強要など、被害者本人のみならず、同居している子どもの心を激しく揺さぶるような事態が「家庭という密室」で起きている。
加害者には高学歴、高収入、社会的に信用のある職業の人も多く、DVの原因に経済的な要素は感じられない。
激しい暴力を受けていた妻が出産直後から育児をさせてもらえず、ネグレクトされて育った長男。次男も父親から直接虐待を受けていた親子に出会ったことがある。兄弟は2人とも学力も運動能力も高かったが、コミュニケーション能力に欠け、学校や部活動の中でさまざまなトラブルを起こしていた。この兄弟は母親が日々殴られ、性的暴力を受けるのを目撃して育った。彼らにとっては自分の一番 大切な両親の間に激しい暴力があるのを見せつけられたことで、いつしか暴力をコミュニケーション手段の一つして学び取っていってしまった。
思春期の多感な時期に家庭が安心できる場所ではなくなってしまった子どもたち、自分の想いを家庭の中で受け止めてもらえない子どもたちは、仲間や信頼できる大人を求めて、何とかして学校に通う。夜の街に消えて行ってしまう子どももいる。しかし、多くは学校に居場所を求め通う。しかし、彼らはコミュニケーションの問題でトラブルになり、加害者になったり、被害者になったりしているケースを見てきた。
いじめをしたり、施設を壊したり。学校は問題行動について指導することは当然だが、指導した後に一拍置いて、彼らの気持ちを聴き取る時間を設けてもらいたい。きっと、いっぱい思いを語ってくれるだろう。
暴力という怒り行動の陰にある複雑な気持ちを理解し、すくい上げていかなくては、暴力は止まらない。
湘南DVサポートセンター 090-4430-1836(tryton@kodomo-support.org)
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